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昼間の定食屋で議論すること

私は、この人とは信頼関係が築けているなと思う基準があって、それは表題の通り、"昼間の定食屋で議論出来るか"というものです。

読んで字のごとく、アルコールがなくても、また、周りが落ち着いていない(オフィスや教室やカフェではなく)雑多な場所でも議論が出来るかという点です。

これは、実際に、お昼に定食屋で議論したかどうかはともかく、実際に何か議論を持ち出した時に、いつどこであっても、一緒に意見を出し合えるような関係か、ということを指します。

ちなみに、この基準と、”仲の良さ”というのはあまり関係がないと考えてます。例えば、私にも仲の良い友人がいくらかいますが、良くお酒を飲みに行くような関係であっても、お昼の定食屋で議論出来るか?と言われたら、そうではないという友人も当然います。ここで、重要なのは、その人の議論をする能力ではなく、単純に、"私とその人の間"では、議論をするような関係ではないということだと考えています。

そういった人とは、最近あったことや共通の知り合いの話など他愛無い話をするのが楽しいし、会話の中身に不足があるというわけでは無いと思います。(そもそも、仲良くない相手とはそんな会話すら長く続かないし、楽しく出来ない。)

さて、この基準は、私にとってある経験からに由来しています。

それは、大学生の時で、当時スタートアップでインターンしていた時の経験です。私は大学の時に、長期のインターンをいくつかの企業で行いました。それぞれ大体半年ぐらいでした。
そのうちの一つのスタートアップのCEOとの話。
そのスタートアップは、人数が少なく(5名程度)、オフィスも小さく物理的に近い距離にいたというのもあって、色々と直接指導頂き、勉強させてもらいました。こちらの詳細もいつか書きたいと思います。
(※ ちなみに、そのスタートアップは、私がインターンを卒業した後、資金調達して、オフィスも移転し、社員も増えていて、とても勢いのあるベンチャーとなりました。だから、その時の規模でインターンしていたからこそ色々ご指導頂けたと感じています。)

話を戻すと、そのインターン先では、CEO(CEOがいないときは別の幹部陣)が、私をランチに連れて行ってくれるのが通例となっていました。

彼のキャリアは、外資系インベストメントバンカー→大手IT企業→独立という形で、先進気鋭のスタートアップ気質というより、インテグリティが高いプロフェショナルという感じの人でした。

当然、私が大学生の時には、そんな彼とは到底同じ目線では話が出来なかったものの、彼は、いつもランチに連れて行ってくれる中で、"君は将来どういう目標を目指しているのか"、"その目標に対する、今の君の考えは、正しい(論理的)か"などを色々議論を交わしてました。
おそらく、彼は、私がインターンだから、私の成長に介在しようとしてくれていたのはあったと思うけれど、一方で、彼がそういう議論自体が好きという事もあったと推測しています。

そのランチの時間は私にとって非常に有益で、私の将来のキャリアだけではなく、最近こんなことを考えたんですけど、というようなインサイトも話して、そこから議論することもありました。

とは言っても、私は学生の身に甘んじて、つまらない意見を言うのは望ましく無いとは思ってたので、出来るだけ深いところまで自分なりの意見を考えてから意見を共有していました。(それでも、大した意見ではなかったけど。)

当時は、私は同世代の友人と話している時などに、何らかの議論のような話題になると、あまり盛り上がらず、次の話題に移るということをしばしば経験していて、まぁ、こんなものかなと思っていました。(自分のレベルが高いとかではなく、楽しみを見出す軸がおそらく違うんだなと思っていました。)

だから、彼と会って、そういった議論を出来たこと、そしてそれを、お昼の定食屋で出来たことというのは個人的にはとても驚いたし、時には、圧倒的に否定される(※ネガティブな意味合いではなく論破に近いイメージ)こともあったけれど、大変面白い時間でした。

それからというもの、お昼の定食屋で議論が出来るかというのは、人との信頼関係を考えるときのひとつの尺度になっています。

また、当時、彼と色々議論をした結果、そのような議論自体がより好きになって、それ以外の会話がより味気なく思うようになったという面も捨てきれないです。とはいえ、当然後悔はないです。

ただ、最初に書いた通り、そもそも議論をしなくても信頼関係が築けるし、先述した通り、ある人が"私"と議論しないだけで、他の人とは議論をしている可能性だって大いにあります。

何はともあれ、いつでもどこでも考えの精度を高めてくれるような意見をくれる人及びその関係というのは貴重です。

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