戦略を立てる時には、課題ドリブン、つまり、課題から逆算的にToDoを導き出して、PDCAを回して達成に向かうというタスクの進め方がもっとも無駄がなく理にかなった仕事の進め方であるだろう。
単純かつ基本中の基本だけれども、徹底出来ていない人も多く、この意識が抜けていたら、進めているタスクやプロジェクトは、間違いなく見当違いな方向に進んでしまう。
課題ドリブンの利点は、”無駄がないこと”であり、やらなくても良いことをやらずに済むし、計画的に進められる。
ある問題に対して、課題解決の可能性として挙げられる選択肢は、数え切れないほどあって、”効果が出るかもしれない”という視点で話を広げてしまったら最後、それこそ文字通り”会議は踊るされど進まず”の状態になってしまう。
(あと、これは完全に個人的な意見だが、課題ドリブンで進めない場合の上記以外の致命的な問題点がもう一つある。あるタスクやプロジェクトでは、時間軸とリソースは限られていることが多い。つまり、その時点で何らかの制約はかかっているので、課題ドリブンでなくとも、限られた選択肢から選んでいると言う錯覚に陥ることだと考えている。だから、少々話が広がったとしても、悪い意味で、それなりの答えが出せてしまうという決定的な弱点がある。)
一般的に、課題ドリブンでToDoを洗い出した後は、”あるべき姿”と”現状”を埋めるために、PDCAを回しながら課題の解決に向かうという一連の流れになる。
当然、課題ドリブンで、MECEにToDoを設定し、アクションを起こすと必ずしも現状が解決するか?という問いに対しては、言うまでもなく、”それは誰にもわからない”のである。
しかし、他の方法よりも、比較的成功可能性が高いから、課題ドリブンに戦略を設計することは非常に重要だと考えられる。
多くの方は、この意見に多少のニュアンスの違いはあれど、賛同してくれるだろうと思う。
ただ、一方で、最近面白いインサイトを発見した。
経営共創基盤CEOの冨山和彦氏が仰っていた話で、”プロフェッショナルのコンサルティングというのは、例えば、中国に進出したい、と言った時に、本当にシャープな分析を提供出来ること、ではなく、じゃあ、中国全土に来月から雑誌を流してあげましょうと言えること”(意訳)という意見があった。
個人的には、これは一種の衝撃で、確かにと唸ってしまった。
つまり、この例で言うアプローチは、課題ドリブンかどうかで言えば、クライアントが中国に進出したい、とした時に、どんな課題があるか、ということから深掘りをした結果生まれてくるアプローチではない可能性が高いということだ。
なぜ、これが課題ドリブンではないか、について明確な理由づけは出来ないけれど、例えば、この回答自体は課題ドリブンのロジカルな積み上げでは、到底たどり着けない結論に思えるのだ。(あと単純に、この例のアプローチは、超属人的であるから難しいという面もある。)
この冨山氏が挙げてくれた例は、人脈を利用して、相手に直接コネクションという利益を与えてあげるという非常にわかりやすい例だけれども、他のテーマであっても、課題ドリブンでは、こういう”飛び”というのは生み出せないかもしれないということだ。
ただし、冨山氏が指摘していたことでもあるが、この種のダイナミックな提案をするとしても、そのバリュー自体は、それまでの仕事の積み重ねがあってこそであり、それなしには成立しないとも言及している。
現実的に考えて、常人には、”飛び”というものは滅多に生み出せないし、”飛び”というホームランのためだけに、打席に立ち続けていると日々のヒットが打てないために、信頼も機会も失うだろう。
それでも、常に、”飛べる”可能性を含む選択肢というのは議論のテーブルには載せなくとも、考慮する余地はあると思うし、私自身も、出来るだけ選択肢を広げすぎないまでも、インパクトを飛躍的に生み出す可能性がある選択肢というのは考えるようにしている。
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