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リモートワーク

コロナの影響で、私の勤めている会社もリモートワークとなった。

私の勤め先は中堅ベンチャー企業ではあるけれども、比較的古い文化だから、リモートワークはつい先日まで想定していなかった。

コロナのおかげといってしまっては違和感があるが、少なくともコロナがなければこんな仕組みが実現することはなかった。

そして、今回、この2週間ほどリモートワークをやってみた効果(メリット・デメリット)を書いていきたいと思う。

結論から言えば、メリットはとても多かった。少なくとも、私には非常に合っている。

私はそもそもリモートワークというものを今までほとんど経験したことがなかったが、こんなにも良いのかと拍子抜けしてしまっているぐらいだ。
単純なメリットとしては、邪魔されないことと、好きな環境を作り出すことが出来ることだ。

やっぱりオフィスで働いていると、人から介入されたり、物音が気になりすぎる。端的にいえば、情報量が多い。
オフィスは電話の音や、人の話し声、人の振る舞い、匂いなど聴覚、視覚、嗅覚に入ってくる情報が多すぎる。
リモートワーク関係なく、私は、この上記の3つの感覚がおそらく人より敏感で、特に聴覚は自分の集中力に非常に影響する。
学生の頃から周りの人のペンの音が凄く気になり集中できなかったことがしばしばあったし、自宅に友人が来ても、足音が大きいと注意することがある。
シェアオフィスで少しだけ働いていた時期があるが、ある日近くのブースに新しく契約してきた会社(数人)の声や物音が大きく、速攻で契約を解除した。

聴覚以外にも、オフィスで働いていると、必要以上に口頭で何かを確認してくる同僚や、指示を出してくる上司は多い。
社内だけではなく、社外からも会社の代表電話で、個人宛にかかってくることもある。
(※私は、社外で私に関りがある人には出来るだけメールやチャットで連絡するように依頼しているが、思いのほか、代表電話にかけてくる人は多く、そのたびに辟易とする。)
社内、社外関わらず、相手の時間を奪うという感覚を持っている人は結構少ない。企業の生産性はお互いに対する想像力抜きでは決して達成されないと思う。

リモートワークしていると、めったに電話はかかってこないし、社内でもタスクの進捗確認事項以外もほとんど連絡がない。

ただここで問題なのが、やはり、リモートワークに移行したとしても、従来の非効率な会社のワークフローは、リモートワークでより深刻化してしまう。

そして、その非効率な仕組みをもともと改善しようとしていなかった人は、当然リモートワークになっても、課題を感じないことは多い。これが結構つらい。
具体的に言えば、普段Aというフローは電子システムを用いてするようにしているが、同じようなA'というフローに対して、ある部署では断固として紙で提出することに疑問をもっておらず、リモートワークだと、紙やEXCELで記入して、押印してスキャンして送るという非常にバカバカしい行為をしなければならない。
(※そもそも、押印に関して、さっさとこの世からなくしてほしい。これだけでも日本でビジネスしたくない理由のひとつに大いになりうる。)
この件だけではなく、紙の保管やGoogleDriveのフォルダ内の整理や社内の情報共有など普段しっかりとシステム上で完結することを意識されていないことがある。
実際に、リモートワークに移行してから、 非効率なフローに対して問題に思っていない何人かの社員と言い合いになり、チャット上でちょっとしたイザコザになってしまった。
このような論争に近い議論は、自分でもやりたくてやっているわけではないし、見苦しいなとは思うけど、私は少なくとも会社の売り上げ、利益のための本質的な作業だけに集中したい(必ずしも直接的な売り上げ、利益に限らない)から、その意識が欠けている場合、職業人として怠慢だと思う。非常に精神的に疲れるが、少なくとも私が関わる範囲に関しては、言い続ける必要がある。

さて、"余計なこと、嫌なことが削減される"というのがリモートワークの効用だと思う。
頭のいい社員が集まる企業では当然この部分は常に意識されていて、仕組みが見直しされている。ゆえに、そのような良い企業はスムーズにリモートワークに移行できるし、仕事の質も落ちない。

"働く"ということは、売り上げ、利益をあげるのはもちろんだが、"どのように"という観点は絶対に必要だ。ビジネスモデルうんぬんの話ではなく、社内の仕組みは極限かつ断続的かつ半永久的に見直されるべきだ。

嫌なことが減ることは、いわば"ネガティブなメリット"である。(効率を重視する人間が集まっている企業であれば、そもそも余計な事は存在しないからだ。)
では、"ポジティブなメリット"は、何かといえば、"評価の軸が今までよりもアウトプットにフォーカスされる"ことだと思う。

"ソクラテスの弁明"の冒頭に、ソクラテスが、"弁明を始める前に、これから始まる私の意見は、言い回しとかではなく、その意見の中身を判断してほしい"と前置きするシーンがあり、私はその部分が大好きなのだけれど、まさにそんな感じだ。

仕事は、ある程度礼儀などは必要だけれども、基本的にアウトプットや結果で判断されるべきだし、決して"がんばり"に人件費が発生しているわけではない。

リモートワークでは、その人の態度やがんばりは物理的に見えないから、いかに質の良いアウトプットをどれだけを出しているか(つまり、質と量)で評価される傾向が強まるはずである。

極論言えば、家でさぼりながら、1の時間で10のアウトプットを出す人のほうが、"がんばって"10の時間で、3のアウトプットしか出せない人よりも評価されないとおかしい。

その傾向が強まると、単純に評価される側もうれしいし、評価する側もマネジメントが非常に楽になる。マネジメントコストもリモートワークにおいては、大いに削減出来る。
逆に言えば、リモートワークに移行して、社員のマネジメントが難しくなったと言っていたとすれば、普段"純粋なアウトプット"以外の部分を必要以上にマネジメントしていると言ってしまっているのではないかと思う。

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