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テレビ

次の職場に移る前に、久々に実家に帰ってきました。
実家の居心地はとても良く、まったり出来ています。

実家は地方都市なので田舎ではないですが、普段住んでいる東京はあまりにも便利すぎるし、人が多すぎるなと改めて感じます。
こっちに帰ってくると、一安心します。それは、東京が悪いわけではなく、単純に思い入れがそうさせるのでしょう。

実家に帰ってくると、母の近況を聞いたり、普段見ないワイドショー(一人暮らしの家にはテレビがないので)をみたりしています。

ワイドショーは、見始めてたらすぐゲンナリしてしまいます。
画面自体の情報過多もそうですし、出演者同士のコメントなど支離滅裂で見ていられないなと思ってしまいます。

母の料理はおいしいなと実家に帰るたび思うのですが、テレビがついていると食事が少し台無しになります。
ただ、母は食事をするときにテレビをみるのがデフォなので、別にあえて消す必要がないかなと思いながら、モグモグ食べていました。
これはうちがという話だけではなく、日本の多くの家庭でもテレビを見ながらご飯を食べるorテレビをみながらダラダラするというのがデフォなのでしょう。
私も実家を出る18歳ぐらいまで、そんな生活をしていましたよね。

母はテレビをたいして面白くなさそうに見ていました。ここ数年は面白い番組がめっきり減ったといってます。
実際たしかに、クイズ番組、ドッキリ番組、動物番組、ハプニング映像をひたすら流す番組、健康番組ばかりで、私から見てもその傾向は顕著に感じました。
私は関西出身で、関西のローカル番組は面白いものが多いというのもあって、学生の頃、毎日のようにお気に入りの番組をたくさん録画して、日々楽しみに消化していたような子供だったのですが、今のテレビだとほとんど録画しなさそうだなーと思ってしまいました。

さて、テレビに集中すると疲れちゃうので、母の近況を聞いて、気を紛らわせてました。
母は元気で楽しそうに過ごしていましたし、久しぶりに会ったので、次から次へと色々話が出てきます。
テレビを見ながらも、あーでもないこーでもないというのですが、なんていうか平和だなと思いました。

久しぶりのテレビや母の話を聞きながら、あることを思い出してました。
以前、あるテレビ局の方と広告代理店が主催するセミナーみたいなのに、知り合いに誘われて、参加したことがありました。
企業がテレビを広報PR活動の媒体として、どう活用するかという話だったと記憶しています。

登壇者は、"テレビというのは難しい情報は伝えられない。どんな人でもわかるように情報をそぎ落としていかないといけないんだ"、というような趣旨の話をしていました。
それに対し、企業側が出してくる企画は情報を詰め込めすぎているらしいです。
"それを踏まえて、企業のやり方では不十分なので、私達がサポートします。情報をそぎおとす事例として、企画から放映までこんな感じの流れでやっていますよ"、と事例とともに紹介するものでした。

正直申し上げて、終始何だこの話???って感じで聞いていました。
質疑応答の時間があり、折角なので
ーテレビが情報そぎ落とした結果として、質の高いコンテンツが出来ているのか?
ー情報をそぎ落とす流れの事例はあくまでも事例に過ぎないかもしれないが、その事例からは特にテレビ局や広告代理店が行う付加価値を感じられなかったが、本当にそれらの作業に価値があるのか?
といったことを聞いたのですが、やはりTVの視聴者は究極までにそぎ落としたコンテンツしか見ないし、企業側は実際それに対応出来ていないケースが多いという繰り返しの回答しか得られませんでした。

まぁ、実際に言えること言えないこと、現場では色んな要因があるのかもしれませんが、そのときは、テレビ局ってこんな感覚なのかと驚きました。
なんだったんだと思いながら、帰り道とぼとぼ帰った記憶があります。(セミナーが終わるやいなや、参加者がこぞって、主催者の前に行列を作って名刺交換をしている風景も絶望を際立たせました。)

テレビの視聴者は"わかりやすい、単純なもの"が好き、という前提にあるらしい。
一方で、皮肉的にも、NetflixやYoutubeを見る人が増えていて、テレビ離れは増え続けるでしょう。(とはいえ、Youtubeにもテレビ番組が違法アップロードされ結構な再生回数を稼いでいるという皮肉もありますが。)
テレビを見ない層が増える、つまりテレビのコンテンツ(orテレビを見るという体験)は比較的つまらないものと位置づけられているわけですね。
相対的につまらなくなっているだけではなく、絶対的につまらなくなっている可能性もある。(データはないのでわからない。私と母のn=2という心もとないデータしかないです。)

ここまで偉そうな書き方をしているわけですが、別にテレビの方たちがレベル低いとか悪いとかは思っていません。
新規参入がゼロで大した競争もない産業だからこそ、本質的なレベルでは変わらなくていいのだと思います。
衰退はテクノロジーによるカスタマーエクスペリエンスのルール変更が主要な要因でしょう。その文脈では、彼らがテクノロジー変革の旗振りを担えるプレイヤーかと言われればNoでしょう。

企業・産業の成長/衰退を予想するときには、そこで働いている人と話すというのは有力だと思いますが、今回のケースは明らかに衰退の例になりますね。(テレビ産業の場合は別に中の人と話さなくても分かると思いますが。)

というようなことを、母の手料理を食べて、テレビを見ながら、ぼーっと考えていました。

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