ZUUHE BLOG

原体験と退行

子供の頃、食玩の"おまけ"(むしろそれがメインではあった)を集めて、そのおもちゃ同士を戦わせたり、ストーリーを作るのが大好きだった。
ストーリーはいつもドラマチックで、私のお気に入りのキャラクターはピンチに陥るものの劇的な勝利を遂げる。

レゴブロックで作り上げたフィールド(?)上で、あらゆるキャラクターを戦わせることに忙しく、時間を忘れるぐらい没頭をしていたころ母親が夕食のために呼びに来る。
また、"シュー、ドカン、ウォー"(私が口で発する効果音)ってやっていたの?と呆れながら言われる。

みんな(特に男性は)、このような経験を経てきただろうと思う。他にも、色々な遊びをした記憶がある。
トレーディングカードを集めたり、絵を描いたり、適当な厚紙で工作してオリジナルの武器を作ったりなど楽しかった。

いずれの遊びをそれぞれとても楽しめていたように記憶している。
何しろとても暇だったし、それに没頭していた気がする。

そこから多分中学受験の準備を始めたぐらいから忙しくなり、中学からも毎日通学だけでも疲れ果てていたので、特に時間が有り余っているという感覚はなかったように思える。
表現としてちょっと難しいが、あきらかな"子供っぽい"遊びみたいなことをしなくなった気がする。
ある程度年齢を重ねて大人になると、友人と遊ぶといっても、鬼ごっこやちゃんばらごっこをするわけではなく、食事やお出かけをするのが中心になる。

最近、雑貨集めが好きになったのだけれど、集めたものを眺めていると"あれ、これ昔の食玩集めと同じじゃないか"と気付く。(今のところはそれを戦わせてはいないけれど。)
他にも、百均に行って、絵具や粘土を買ってきて、絵を描いたり、適当なキャラクターをモデルに粘土をこねたりもした。
正直言って、めちゃくちゃ楽しい。特に粘土は手が汚れて用意も後片付けも面倒だけれど、幼稚園児の頃の感覚で没頭していた感はあった。

やっていること自体は非常に退行しているのだが、とても楽しい。
毎日四六時中やっていたいかと言われたらそうではないが、子供の頃していた遊びなどは単純ゆえ直感的にわかりやすく、一度はじめると没頭しやすい。

子供っぽい遊びをしていると、色んな記憶が蘇って、少々ノスタルジックな気持ちになる。
何が変わっただろうか。色んな変数があるので一言で片づけられるわけではないだろうが、最近ひとつ気づきがあった。

それこそ"少年時代の思い出"みたいなフレーズで想起される作品の代表作"スタンドバイミー"。
すでに何度も観たことがあったのだが、最近ある解説のようなものを見た。

その中で、スタンドバイミーという作品の中の"死体を探しに行く"という冒険の中で、主人公たちは心の底から本当に冒険を楽しめていないというコメントがあった。
つまりは、子供(主人公たち)はみんなとても暇で、みんながやるならと乗っかるものの、別に他のことでもいいし、むしろ冒険はちょっと怖いから、キリのいいところ(暗くなってきたり、危ない場所)で引き返したいけど、あまり言えないという感じだ。

正直この視点は今までなかった。ノスタルジックな気分でごまかされていたが、子供のころは色んな事にそれぞれ没頭していたような気がするだけで、たまたま暇すぎたから/やることが他にないから仕方なくやっていたことも多かったかもしれない。 逆に言えば、子供のころみたいに、暇で暇で仕方ないぐらいの状況は大人になるとほとんどなくなる。
仮に、1週間程度休暇を取ったぐらいでは、仕事のことを完全に気にしないというわけにはいかないし、暇で暇で仕方ないという状態にはならないだろう。
暇で暇で仕方ないという期間がどうしても欲しいわけではないが、次に来るとすればいつなんだろうか。

Tweet

© 2021 ZUUHE