業務ヒアリングについて。
読んで字のごとく、業務ヒアリングは、主に業務効率化を目的とし、各担当者に日々の業務フローをヒアリングして、改善点を見つけ出すこと。
業務ヒアリングを最近行って、業務改善をサポートした。改めてそこで気づきがあったので記録として書く。
はじめて業務ヒアリングを行ったのは新卒で入った会社だった。
私の業務がやや特別だったのもあり、入社早々仕事がなくなった。
仕事がなくなったので、作りだすしかなく、それならばと様々な事業部、担当者の業務を知るためにも業務ヒアリングをリクエストした。
いろんな支店に出歩いたり、他部署にミーティング時間を頂いて、たくさんヒアリングしてレポートを書いた。
ー 信頼関係について
まず、業務ヒアリングはヒアリングする側と、される側の信頼関係が非常に大事である。
当時は、私と初めて会う・話す方がほとんどで、自分より若い新卒の坊主がミーティングを依頼しにきて、怪訝な顔をする人が多かったのが印象に残っている。
挨拶しても返されないなんてザラだった。それは少なからずショックな経験だった。今でもたまに思い出す。
ただ、幸か不幸か私は必然的にどこに行っても一番若かったため、舐められることはあっても、恐縮されることはない。
つまり、急に偉いおじさんが来るよりも、相対的に話しやすかったと思う。
初対面でも、まず話しやすい関係性を作らないとうまくいかない。
業務ヒアリングは、一回で終わるものではないし、まして、特別なものではなく、日々の業務中でも必要に応じて課題があればヒアリング関係性を作らなければならない。
業務ヒアリングきっかけで関係性が出来た結果、別日の業務中に連絡が来て、業務フローの改善をもらうことがよくあった。
これは業務ヒアリングした結果、改善効果を示せたことはもちろん関係があるが、それ以上に、"私"と"その人"の2者の信頼関係がなければ起こりえなかったと思う。
前提として、業務改善も必ず実現するかわからないわけだから、関係性がないと連絡工数を下回る。
つまり、"連絡工数" < "業務改善への期待" の図式をまず作りださないといけない。
ー 自由度について
業務ヒアリングは、大枠の流れだけ決めておいて、決まったテンプレートなどは決めないようにする。
アクションにつなげることはマストではあるものの、テンプレートを決めちゃうと、事前の質問を只々読み上げるようになる恐れがありそうで自由度は高くしておく。
同時に、その後個人でコーチングの仕事も請け負った時にも頻繁に課題として感じたことだが、自由度を狭めると、"決めつけ"のようなものが入ってしまう。
"決めつけ"とは、例えば、一人暮らしで寂しいのでペットを飼いたいという人がいたとする、それを聞いて、"たしかに一人暮らしよりも家に帰ってペットが駆け寄ってくると、幸せそうですよね"という返答だ。
この場合、聞き手が一人暮らしで寂しい状態を想像し、それに対して"家に帰ってペットが駆け寄ってくることが、その人の寂しさを埋めてくれそうだ" という決めつけである。
適切に相手の気持ちを解釈できている可能性が低い。
少なくとも、"一人暮らしだと寂しいんですか?"と聞いて、その人の考えを深ぼることが必要。
業務ヒアリングは、アンケートではなく、あくまでも会話の延長線にあるイメージでやっている。
ー 業務自体の改善だけではないことについて
業務のヒアリングをした際に、その業務フローをこう改善出来そうですね、という具体的な業務レベルではなく、もっと抽象度が高い部分に帰結することがある。
例えば、もっと上席の○○さんと話して、雑談を言い合えるぐらいの関係性築くことから始めるのがよい、などである。
これは、外部の人間である私が本当の実態をつかめない可能性があり、見当違いな業務改善を挙げてしまうリスクを軽減するためにも有効である。
この場合は、一度ボールを本人とその上席に戻してみて、再度ミーティングを設定し、話してみてどうでしたか?と聞いて、経過を聞く。
先述した信頼関係について、でも書いたように、業務改善をリクエストし合える関係性を企業内に増やすことが中長期的に業務改善の効果を増やす。
ーやるべきことを軸にする
最後に業務ヒアリングにて最も大事な軸だと個人的に思っていること。
私はヒアリングする際に、"その人のやりたいこと"は極力ヒアリングでは聞かないようにしている。
あくまでも、"やるべきこと"を軸に業務ヒアリングを行うということだ。
それは、その人の希望を叶えないという意味では当然ない。
業務ヒアリングの目的は言わずもがな業務フローの改善で、全体最適の観点で推し進める必要がある。
目安箱ではない。"やりたいこと"を深ぼると、愚痴の方向に逸れていくリスクも高い。
やりたいことを聞いたとしても、そもそも実現できず、結果フラストレーションが溜まるためあまり意味がない。
"やるべきこと"が先にあって、そこに"本人のやりたいこと"を合わせるのが望ましい。
そして、やりたいことを実現する場合は、個々人がしかるべき人に自発的にリクエストして相談をするべきで、他者が汲み取る構図も望ましくないと思っている。
一旦、こんなこんな感じだろうか。
業務ヒアリングは、何度やっても、私自身も新しい気づきがあり、勉強になる。
基本的に、多くの人は緊急ではないが、重要なことを考える時間は取れないことが多い。
これに関して、"良い戦略、悪い戦略"という書籍にあった私が好きなエピソードがある。
うろ覚えで恐縮だが、それは、著者が学生のとき研究レポートのため、ある企業に訪問し、事業部の部長にインタビューをした。
そのときに、"御社の目標は何ですか?" "競合はどんな企業ですか?" "どんなことが課題ですか?"などシンプルな質問を投げかけて、それを深ぼった。
すると、インタビューを終えた際に、その部長が "このインタビューはとても有意義だった。このような大事な問いについて考える時間はあまりなかった。"と感激したらしい。
これは非常に示唆的なエピソードだなと思えたし、業務ヒアリングをするときにいつも思い出す。
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