世界が更新されていてほしい

SNSをなぜ見てしまうか、という問いに対して、世界が更新されていてほしい、という願望があるのではないかとふと思った。

間・退屈・暇が耐えられない。

作業中に少し間があると、なんとなくスマホをみて、インスタを開いてしまう。
特に、何かをみたいわけではなく、開いてしまう。
( ※ 最近、スマホの形をした「ただの板」がデジタルデトックスしたい層に爆売れしているのもうなずける。あれは長続きするのだろうか。最初はなんとなく安心感を得られる気がするが、結局その存在すらうっとうしくなってきて、部屋の隅っこに置かれて埃をかぶっていそうだ。)

なんとなく、スマホを見ていない間、SNSも含め何らかの世界のアップデートがあってほしく、それに何となくキャッチアップしたいという欲望がありそうだ。

たまに数時間運動したり、外出していて、スマホをみていないあとに、スマホを見たらいろんな情報が更新されている。

それはLINEやChatworkやSlackなどのメッセージアプリの通知もそうだし、ニュースもそうだし、SNSもそうだ。世界が更新されている。

取りつかれたかのように、その更新された情報に追いつかないといけないようないけない気持ちになる。

仕組みとして、不要な連絡を遮断したり、LINEグループから積極的に退出したり、通知を切ったりして遮断しようとするが、それでも入ってくる情報を遮断するのは限界がある。

どうしても知りたくなってしまう。

取り残されていくされていくことに対する空虚さで、何か新しいことが起きていないかと期待する気持ちになる。

なぜ情報に取り残されることが怖くなるのか。
Web3とかメタバースだかの流行りのビジネスキーワードが主張するように、多くの人が仕事もプライベートもデジタルデバイスと向き合っている時間が長すぎて、デジタル上で意識が生きているから、もはや情報に取り残されることはなんか自分が取り残されていくような錯覚を得てしまう。

これは、流行に敏感かどうか、みたいな個人の趣味嗜好の領域はとっくに超えていて、共同体で生きている限り制御するには難しい。

かといって、自分で取り込むべき「ちょうど良い情報の量」なんてものはわからない。
また、受動的に情報を吸収しているプロセスの中に、セレンディピティ的に有益な情報や面白いエンタメに出会えたりすることも当然あるわけだから、まったくもって価値がないとは割り切れない。

注意力のリソースに限界があるとするならば、でも自分が本当は注力したいものに注意力を割くことが出来なくなる。

先日、友人に食事に誘ったときに、返信が返ってこず、数日後に「資格試験の日が近くて、勉強してて1週間ほどスマホ触ってなかった!」と返信がきて、単純に意思がすごいなぁ、いいなぁと思った。

でも、そのあとXをみたのか、「平本蓮がドーピングしてるかも!」と執筆時点(2024/08/31)で話題になっているトピックのXのポストをシェアしてきた。

つまり、このブログの冒頭の表現をつかえて、彼も「世界が更新されていてほしい」という感覚があって、スマホ解禁してすぐに情報に追いつかなくてはならなかったという流れであろうかと思える。
(※ ちなみに、私はRIZINに関するブログを何度か書いているが、RIZINの興行のやり方にいくつか疑問があり、もう執筆時点であまり興味がなくなってきていている。だから、あまり熱量をもって返信できなかった。)

ここで問題なのは、情報にキャッチアップしない人にあったときに、この人は無知だな、こんなこともわからないのか、と思ってしまう恐れはある。

勉強熱心なエンジニアが、新しいフレームワークやスキームに触れたときに、社内で「これ使ってみましょう」と社内に提言するも、「分からないからリスクが高い。今のスキームで十分目的が達成できる」と言われてしまうなども場面もあるだろう。

SNSにある玉石混交の情報の洪水を受動的に受けることと、ある専門分野における最先端のトレンドをつかもうと積極的学習する姿勢と比べるのは、実用性の観点からもあまり正確な比較ではないだろうけれど、いずれにせよ情報を浴びつづけるというのは、認知負荷が高すぎため、人によっては、認知を受容できる範囲に限界がある。

たとえば、たとえ格闘技好きの私でも、先の平本蓮選手の情報も一旦関連のツイートや流れなどを理解するだけでもやや疲れる。

デジタルデトックスを完全にやるのはおそらくほぼ不可能に思える。
とはいえ、情報を選択する意思を持たず生きていると、認知負荷が強すぎて防げない。

さてここまで書いていって特に提言もないんだけど、自分で選択しなければならないなと思うのと同時に、誰かを何かを知らないことで無意識にネガティブな評価をするようなことをしてはいけないなと思う。

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