新年一発目。毎年新年一発目は、RIZINの現地観レポをあげてたけど、もうRIZINにあまり興味がなくなったので、現地観戦はやめて、親友の家で、RIZINのライブストリーミングを見ながら、ダラダラしてた。今回はRIZINについてではない。
最近、Youtubeチャンネルの「ReHack」で中田敦彦さんと高橋弘樹さんの対談動画があがっていた。非常に面白い話だった。
【中田敦彦vs高橋弘樹】衝撃告白!兵庫県知事選&自民党総裁選…大物出演の裏側とは?【ReHacQ &YouTube大学コラボ】
テーマは、中田さんはタレントとして自分のやりたいことをし続けるという状態を達成しているが、今の状況に「飽き」を感じていてそれに対してどう考えているか、というもの。
彼みたいなインフルエンサーのトップランナーであり、適性にあったことをしてそうな人でもそう感じるのかと面食らった。
おそらく彼は自分のやりたいことをなんでもやれる状況にあるだろうし、大変失礼な言い方になるかもしれないが、今後に不安を抱えるようなタイプではないだろうな、と勝手に偏見を持っていた。
烏滸がましいけれども、一種の親近感みたいなものを感じて、彼のことを好きになった。(※ 嫌いだったわけでもない。)
ReHackは毎回見るというほどではないが、面白いコンテンツが多い。
高橋さんが聞き手として、余計な茶々を入れず面白がりながら深ぼるのが上手で、相手の言わんとしていることを補助して発散させるのが上手い。
テレビのプロデューサーの方は佐久間さんなども最近露出も増えているが、演者としても優れているのはテレビの経験なのだろうか、それとも彼らの素質なのだろうか。
PIVOTも面白いコンテンツも多いが、やはり聞き手の上手さに加えて、テーマの切り口がReHackの方が数段上に思える。(あと、PIVOTはあまりにも案件動画が多すぎる。その案件動画がとてもつまらない。)ただ、最近PIVOTがメジャーリーガーの菊池雄星選手のインタビューがあって、これは秀逸に面白かった。菊池雄星投手が頭脳明晰で非常に有能な語り手であること大きい。
【菊池雄星投手に聞く、メジャーリーグの最先端】アストロズでの進化/データ量が違う/筋肉量が5kg違う/同じミスをしない/15秒ルールの影響/メンタルの保ち方/SNSは見ない/睡眠と栄養/読書と行動】
ネットメディアに関する話で感じた点をちょっと書くと、長らくネットビジネスメディアとしては、NewsPicksが長らく先行者でかつ覇権を握っていた。NewsPicksが箕輪氏や落合陽一氏を筆頭に多くのビジネスインフルエンサーと連携し、一強の時代が長かったはず。しかし、今やプラットフォームとしてのYoutubeの強さはすさまじく、大半はReHackやPIVOTにユーザーも移ったはず。あらためて、そこにプラットフォームビジネスの難しさを感じる。
NewsPicksはビジネスニュースキュレーションメディアから、コンテンツプラットフォームに移り変わったが、やはりコンテンツプラットフォームは、Netflixなどにも代表されるように独自コンテンツが競合優位性になりえて、サブスクビジネスのため、Winner-takes-allになってしまう。NewsPicksも記事も動画も独自コンテンツをたくさん作ってたように思えるが、やはり動画ではYoutubeには勝てないし、記事ではネットワークを持つ大手メディアには特定のドメインでは勝てる部分はあるものの、やはり大衆レベルのメディアにはなかなかなりづらいという点もある。
話が大きくそれた。
冒頭の中田さんの動画に戻る。彼は、YoutubeなどのSNSは今後テレビと同様にコンプライアンスが求められてくるという趣旨の話をしていた。実際に、彼自身のチャンネルにもコンプライアンスチームがあるらしい。
コンプライアンス違反に対する罰則において、テレビとは違う点でいえば、SNSは米国の特定の企業がプラットフォームの権限を握る。その影響力はすさまじく、ほとんどはAIによって適切でないと判断された瞬間アカウントBAN、広告収益停止される。アカウントBANされたからといって、干された!頭の固い権力によってつぶされた!みたいな議論の余地はなく、即退場。ゲームのルールはいつでもプラットフォームが変えられる。
“正しいこと”を話す人が残り、視聴者もそれに慣れてくる。それに伴い、コンプラ違反は当然として、”嫌なこと”をいう人は嫌悪感を抱かれ支持されないようになる。”嫌なやつ”をはじき”健全な状態”になる。
また、たとえ論点としては正しいポイントを含む発言であっても、嫌なポイントがひとつでもあれば、それを指摘され糾弾されてしまう。逆に言えば、論点がずれた反論であっても、「正しそうなこと」を言っていれば、それが正しくなる。
すでにフォロワーなど大量の支持者を抱えている人は表面上正しいことを言いつつ支持者をより広めるため、仮に悪い発言をしてしまったら炎上するリスクはあるものの、すでに抱えた支持者は基本的に肯定するため、あまり影響はない。
すると、結局数字を持つものが正しくなり、要所要所で裏にネガティブな思惑を抱えていたとしても、”正しいこと”をいっていれば、それを支持する人は思考停止で信じる。
私は現在29歳の年で、世代的に2chやニコニコ動画が流行っていた時代だったので、たとえば、顔を出そうもんなら一生ネットで晒される、といった具合の不安があるようなやや保守的な人間である。その2ch創始者のひろゆき氏が言っていた「嘘を嘘と見抜ける人でないと(掲示板を使うのは)難しい」という言葉があるが、それは時代が変わっても、言いえて妙だ。
(※ ひろゆき氏も今や自身も数字を持ち、無頼派かつ皮肉屋的なキャラも相まって無敵状態になっていて、演者力には類まれなる才能があるように思える。その一方で、ビジネスインフルエンサーになって、企業のPR案件などもバンバン受け、昔のネット民が嫌いそうなキャラになってしまっている部分もありそう。私はひろゆき氏のファンでもアンチでもないが、氏のかなり極論的な発言で、ネガティブな影響をもたらしている状況はみてて痛々しいなと感じることはある。それはそれを求めている人が多くなりすぎてるからであろう。(ホリエモンとの喧嘩がしょっちゅうネットニュースで流れてるのは正直ちょっと面白いと思ってる。)
できれば、彼が今の自分自身の状況に感じていることに興味があるし、同じくReHackとかでちゃんと話を聞いてみてほしいなと思う。そう考えると、岡田斗司夫氏ってこのあたりのバランス感覚ちゃんとしているよなぁ、と思う。
本質的な”正しいこと”の議論は難しいはずなのに、インフルエンサーおよびプラットフォームが判断する「正しいこと」はある程度単純になりえて、今後一定収束して、画一的になるはずだ。同時に、排他的になり、異なる価値観を糾弾していく。切り捨てられる価値観が多くなる。画面を見る時間も当然増えていくはずで、交流して対話して、異なる価値観を初めて知る機会も減少する。
また、「テレビ」の言っていることが信頼できた昔が、インフルエンサーが言っていることが信頼できるようにシフトしているのは最近の話ではなく、もうしばらく前からそうなっている。テレビもインフルエンサーの収益源は「広告費」であるため、企業の広告費が原資であり、そこにあわせた「正しいこと」になりえる点では変わらないが、インフルエンサーが自社のメディアの力を持つわけで、テレビよりもダイレクトな強い影響力がある。
「価値観を理解すること」の重要性は軽視され、数字を持っている、もっといえば金を稼いでいることが唯一の正しさの担保になってくる。「自分の価値観の軸」を持つことが難しくなる。そもそも「自分の価値観の軸」を確立しようと考えても、それを醸成するのはいつの時代も難しい。今日マインドセットを変えて、明日から自分なりの価値観を確立できる代物ではない。もし出来るのなら、世の中に自己啓発本の類は存在しない。
「自分の価値観の軸の醸成」には長い時間と経験が必要であるのにも関わらず、世の中の価値観の大きな軸は常に「フォロワーなどの数字や金」であるという見方は強すぎるあまり、自分なりの価値観を醸成するまでに破綻してしまう危険性がある。
冒頭の動画で、中田さんは、中身はざっくり省略するが、ビジネスプラットフォームや公開するコンテンツとしての面白さはある程度もう飽きて、別の軸で自分の価値観を醸成しようと考えて、自分だけが認めている「ニッチな好き」を見つけて長い時間軸でそれに取り組もうとする解を出していた。唸るほどいい回答だと思った。
彼の場合具体的には、「茶道」をやってみたいという。
茶道は一度の1on1のお茶会に何時間も器も場もセッティングして、その場限りの対話をする。たとえばその茶会で、彼は「政治会のフィクサー」みたいなイカれた人間と、クローズドな場所で動画抜きでじっくり話を聞いてみたい、という趣旨のことを話していた。それは発信者としての願望として非常におもしろい話である。もちろん、茶道の習得には10年スパンで時間がかかるが「それがいいんじゃない?」というとらえ方だ。
後付けだけれども、このZUUHE BLOGも同じような取り組みである。ついにこのブログも開設してから5年も経つ。しかし、1日のアクセス数は10件行ったらいい方で、誰にもおそらくみられていないレベルだ。この時代ブログを、こんなオリジナルのHTMLフォーマットでこそこそ続けているのは日本で1,000人もいないのではないか。
また、「このブログで得た物は何か?」に対する答えとしては、「特にない。」実利的な利益は全くないばかりか、文章力が上がったとか、思考力があがったとかも思わない。(※ コンテンツの個別の面白さでいえば、個人的に昔のブログの方がテーマも文章も明快で面白いと思う。)
ただ、私はこのブログを書くのは非常に楽しいと思っているし、辞めたいと思ったこともない。始めた当初も10年スパンで自分が考えていることを文章にしたら、自分にとって大きな資産になるのではないか、という思いで始めたし、GA・サーチコンソールはデータに興味があったからいれているものの、SEOを気にしたこともないから自然流入のアクセスも今後急激に増えることはないと考えてよい。自己紹介ページにも書いているように、インターネットを楽しめたらなぁという考えがずっと同じく今もある。自分のために書いている。
最後に「金・フォローワー」的価値観を批判したものの、それは私もお金を稼ぐ才能もないから批判しているという部分もあることは認めなければならない。もちろんお金はもっと稼げるようにはなりたい。しかも、もっと金が稼げるようになったら、このブログで述べたことは前言撤回して「やっぱ金よ!数字よ!」と言い出す経営者になってしまうかもしれない。(それはそれで面白いブログが書けるかもしれないね。)
でもどちらかというと、腑に落ちるのは自分の価値観を長い時間かけて醸成したほうがいい、という半ば願望の思いである。その方が死ぬ前に「あぁーなんか特に何も成し遂げられなかったけど、自分の事幸せに出来たわ」と思いながら死ぬことが出来るんじゃないかなと考えている。
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