私にはある夢がある。
24歳ぐらいから持ち始めた夢であり、今29歳の年(年明けの誕生日で29)なので、おおよそ5年ぐらい。
その夢をいつか叶えたいなと思っていたが、全く実現に動き出せていなかった。
今ある環境をすべて捨てて、一度ゼロからその夢が実現できる環境で修行しようかなと決心したのがおよそ半年前。
例を挙げれば、映画監督になりたいから、映画が作れる環境に飛び込むみたいな話。
ただ、結論から言えば、うまくいかずだった。
しかし、別に新しいことをしなくとも、自分の自己資金でそれを実現するならばいくらかかるのかを最近調べた。
先の例をあげるならば、映画を自分で作るならいくらかかるのか。
「夢をかなえるにはいくらかかるのか」という話だ。
ネットで出来る限りリサーチしても、あまりあてにならない情報ばかり。
「概算」はわかっても、オペレーションフローがわからない、みたいなケースが多い。
情けないことに私は、オペレーションフローがわからない状態で「やってみなければわからないからやる!」と見切り発車するほどのリスクテイカーではないのと、そこまで緊急性が高くないので、「まぁとりあえず資金をためつつ、いつか本気で調べるか」、という気持ちだった。
とはいえ、夢ではあるので、緊急性は高くなくとも重要であることに変わりはないわけである。
(※「緊急ではないが、重要なこと」にリソースを割かないことって、人生にとってありがちで、そこにリソースを割くのは本当に難しいよなと感じる。)
そんなときに、たまたま、友人にこんなことをやりたいんだよね、というと、「僕の知り合いで、それに詳しい人がいて、リサーチ料払えば調べてくれますが、どうですか?」と提案をもらった。
リサーチ料金と言っても、数万円で高くなかったので、二つ返事でOKをして、リサーチしてもらった。
結論から言えば、そのリサーチはとても有効で、納得のいくものだった。
私が思ったのは、「夢をかなえるのには、これぐらいの金額が必要だったんだなぁ。自分の夢をかなえるための金額をわかってなかったなぁ。」と痛感した。
オペレーションフローにおいて、私が唯一わかってなかったある事象が明確に数字とともにわかって、本当に安心したという話。
ここから本題で、その友人が紹介してくれたからこそ、見つけられたリサーチ外注先で、それ以外ではリーチできなかっただろうなと思う。
振り返ってみると、私の仕事もほぼ全て「紹介」で回っている。
本業であるマーケティングや制作などの受託案件も、新規営業で獲得したものはほとんどない。
情けない話だが、新規営業には強い苦手意識があり、ストレスの大きさとリターンを天秤にかけたとき、どうしても「紹介案件だけでいいや」となってしまう。
そんな零細経営者でも、なんとかやっていけるのは、紹介という形で信頼を譲り受けているからだ。
逆に言えば、私自身も「この人とこの人なら合いそうだ」と感じたとき、喜んでつなぐ。それは、経済活動の中で自然に行われる「信頼の移転」そのものだ。
紹介の力学、紹介の経済圏は巨大だと感じる。
知り合いから、「こんなことできる人いませんか?」と依頼をうけることは日常茶飯事で、私の知り合い範囲にはいなくとも、「信頼できる」知り合いの知り合いぐらいにたどれば大体いる。
紹介経済圏の力学として、いくつかの重要な力学が存在する。
もちろん、「紹介」の功罪もある。
紹介を受けたからといって必ずしも良い結果になるとは限らない。また、信頼を預けた紹介元にも影響が及ぶため、紹介する側にもリスクが伴う。
以前も右記のブログでも述べたが(人を紹介するときの注意点)、恩着せがましく自称「人脈が広い」方が紹介してくれた人がなんの役にも立たなかったケースも存在する。
紹介することを自分にも、紹介された人にも、した人にもリスクを転じるという意味では慎重になるべきであることには変わりない。
しょうもないレベルの話はさしひいても「紹介」には構造上の問題点がある。
代表的なのは、「新規参入者の排除」による市場のブラックボックス化であろう。
おおよそ、既得権益的な話もそうだし、ソリューションによって受益する組織側が常に全体最適を考えられてない場合もありえる。
(※ 資本主義はある意味すごくうまくできていて、カネの力でなんとか力技でリプレイスできることもある。)
とはいえ、これらの力学は、国家間レベルはもちろん、国内、地域、コミュニティなどあらゆる組織でありえる。
だからといって、個人的には「既得権益」を悪と決めつけて、駆逐する手法は悪手だと考えている立場にいる。
その力学も存在し、機能しているわけで「合理的」であるからだ。
参入する側が、「既存のシステム」に得をさせるような機能設計をすべきだろうし、場合によってはインセンティブも必要だろう。
現実的に、規模が広がらないと、衰退する宿命をもつ組織が大半であろうし、リスクを排除する意味でも有効な設計を提供するのがいいだろう。
抽象的な話になったがそれがめんどくさいから、私はコントロール要因がこちら側で制御し得ないものに対して、立ち向かう度胸も頭もないのでやらないわけだが。
紹介経済圏の強さに戻すと、「情報の非対称性」というのは、これまでも、そしてこれからもいかに情報通信社会が発展しようが、根強い課題であるはず。
この問題が強すぎるゆえに、なめくさった中抜き業者や、口がうまいだけの組織や、詐欺的サービスが根絶し得ない。
彼らは「信頼」なんて屁とも思っちゃいない。損害を誰かに転嫁するのに必死である。
であれば、「紹介経済圏のリスク」で想定されるようなものよりもマシだ。
そして、「信頼ベース」の経済圏であれば、たとえ排他性があったとしても、最低限紹介の信頼があるので、適切な紹介や詐欺的な行動が完全に放置されることは少ない。
(反例:先にあげたような「自称人脈たくさん人種」)
それに、そもそも、「完全にオープンな市場」という前提は時間/資金/リテラシーなどの観点で現実的でない。
少なくとも、個人レベルの問題を解決するためには、引き続き「紹介経済圏の力」を利用するのが最も手堅い一手に今後もなるだろうな個人的に思う。
P.S. ここまで書いて思い出したけど、あの例の地面師も、紹介でうまれた損害だったね。
P.S.2 そして、本論考において記載した紹介経済圏をうまくハックしたのがSNSマーケティング、具体的に言えばインフルエンサービジネスであって、その事実に関しては否定はしない。しかし、元来の歪みが解消されたわけではなく、別の歪みになったという話だろうと思う。
以上
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